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学校全体でのお取り組み事例

手紙を書く授業で国語辞典を活用されている事例

2012年9月取材

東京都府中市立浅間せんげん中学校 磯部博子先生の授業実践

●学校概要
東京都府中市(人口約25.2万人)の中学校。
生徒数は各学年約200名で、学級数は3学年6学級、その他学年は5学級。
●お取り組み学年
1年生(国語辞典)
●お取り組み単元
「きちんとした形式の手紙を書く」
●指導者
磯部 博子 先生


磯部 博子 先生

実践の概要

単元は、全2時間で、「形式の整った手紙を書く」授業。

第1時 形式の整った手紙の書き方を知る(辞典活用)
第2時 形式を踏まえながら、心のこもった手紙を書く。書いた手紙を推敲する。

という学習の流れで、第1時で辞書を活用する。

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第1時の展開


磯部先生作成のワークシート


「前略」「拝復」などのことばを懸命に確認中

<指導案>で詳細を見る

■授業内での国語辞典の使い方
  • 辞書を使って、手紙の①頭語 ②結語 ③宛名の敬称について意味調べ、使用に適する場面や使う相手といった要素でワークシートに整理する。(今回は『ベネッセ新修国語辞典』を使用)
  • 時候のあいさつを考える際に、辞典付録の「手紙を書こう」というページを参照する。

 

時候のあいさつ ~九月の末編~ ※実際に生徒が考えたり、調べたりしたあいさつ文です。

  • ・まだまだ暑い日が続いておりますが、涼しげな風が秋の訪れを感じさせる今日このごろです。
  • ・夏もようやく終わりがみえ、朝晩の風は涼しくなってきました。
  • ・残暑もようやく衰えてまいりました。
  • ・朝夕、めっきり涼しくなってまいりました。
  • ・鈴虫の鳴き声がよく聞こえる季節となりました。
  • ・虫の音にのって、秋の足音が聞こえてきます。
  • ・庭先で虫の音が、深まる秋を奏で始めた今日このごろです。
  • ・暑い日差しもやわらぎ、過ごしやすい季節となりました。
  • ・どんぐりが秋の気配を届けてくれる季節となりました。
  • ・秋の空が気持ちのいい毎日となりました。
  • ・ひと雨ごとに秋の深まりを実感いたします。
  • ・ひと雨ごとに秋のさわやかさが感じられる季節となりました。
  • ・コスモスの花が秋風に揺れる季節となりました。
  • ・高く澄みきった空にうろこ雲(いわし雲)が浮かび、秋の訪れを感じます。
  • ・夏の夜の寝苦しさから解放され、秋の深まりを実感しております。
  • ・稲穂がしだいにこうべをたれ、みのりの秋もいよいよでございます。
  • ・そろそろ衣替えの季節となってまいりました。
  • ・もみじがほのかに色づく季節となりました。
  • ・もみじも少しずつ色づいてきました。
  • ・夕日の沈むのが早い季節となりました。
  • ・秋風が心地よく、あの猛暑が嘘のように感じられる今日このごろです。
  • ・木々の葉も色づき秋晴れが気持ちよいこのごろ。
  • ・田んぼの稲が金色に輝く季節となりました。
  • ・日ごとに空の青さが深まる今日このごろ。
  • ・赤とんぼの群れ飛ぶ季節になりました。
  • ・運動会の練習をする子供たちの声が秋空の下に響くころとなりました。
  • ・暑さ寒さも彼岸までと申します。
  • ・すすきの穂が風にゆれる季節となりました。
  • ・読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋、勉学・運動に励みやすい季節となりました。
  • ・天高く馬肥ゆる秋となりました。
  • ・秋刀魚のおいしい季節となりました。
  • ・夏の暑さを運んでいくような涼しい風が吹くころになりました。
  • ・初秋の候
  • ・涼風の候
  • ・爽秋の候
  • ・灯火親しむ候
  • ・秋冷の候
■生徒の書いた手紙

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授業実践後の手ごたえ

思ったより、生徒の反応が良かったと感じました。
今まで辞典を使うのは、宿題の形でしかやってこなかったので、要領よく調べている様子や手間取っている姿を直接見られたことは、とても参考になりました。
辞典を使うことで、ことばの世界を広げられたと感じた生徒は多くいたと思いました。

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授業実践を終えての課題

国語辞典を一人一冊持たせても、調べることをめんどうくさいという生徒にどう意欲を引き出させるかは大きな課題です。
辞典を一人一冊持たせることが困難な点(図書室のものを運ぶ困難さやマイ辞典を持ってこさせる困難さ、50分の授業中、使う場面はそう多くないのに、そろえるのが大変etc.)
辞典を調べて書くことに時間が多くかかる点(特に、国語の苦手な生徒)

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今後の展望

自ら疑問をもち、それを調べて解決するために辞典を使って調べることはとても必要だと思います。特に国語科は「ことば」を大切にする姿勢を育てることが必要です。そのためにも、習慣化させる授業展開を考えていきたいと思います。

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生徒アンケートより、授業の感想の抜粋

  • 辞書をあまりつかわないからうまく調べることができなかった。いつも辞書をひくとめんどくさかったけど今日は少し楽しかった。
  • 自分の作った時候のあいさつがほめられてうれしかった。
  • 辞書を使った授業、とても楽しかったです。新しい辞書が欲しくなりました。最近、電子辞書ばかりなので、今回使った辞書は、面白く、読むのが楽しかったです。(今、「舟を編む」という辞書作りの本を読んでいて、最近辞書を作る人に憧れます。辞書作りをやってみたいという夢ができました!)
  • 小学生のときはあまり辞典というものが好きではなかったが、意味しらべをしていてその意味がわかるとすごく、スカッとするので小学生のときよりかは好きになった。
  • 手紙について知らなかったことがたくさんあったので、これから、手紙を書くとき、今日、ならったことを役立てようと思います。

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授業見学レポート(辞典編集部より)

中学生ならではの「形式の整った」手紙を書くということで、生徒からは、晴れがましい緊張感のようなものを感じました。
「謹啓」や「拝復」といった耳慣れないことばにとまどいながらも、辞書を引いて意味を確かめ、ワークシートを使って使用場面を整理していくことでことばへの関心を広げていく様子が見られました。
その後、時候のあいさつを考えるところでは、辞書を使って定型のあいさつを探し、そこに、自身の経験を結び付けた感性豊かなあいさつを多数生みだしている様子に驚きました。

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今回の授業事例について


田中 洋一 先生
東京女子体育大学教授

中学生には、様々な場に応じて文章を書くことができる力が求められます。学習指導要領「書くこと」の目標には、全学年とも「目的や意図に応じ」て書く能力を身に付けるように示されています。あらたまった形式の手紙を書くことも目的や意図を明確に意識した学習になります。頭語や結語、時候や安否のあいさつ、追伸などは伝統的な様式ですから、辞書を使いながら実際に書いてみることはとても意義のあることです。