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学校全体でのお取り組み事例

「周辺の語が見える」紙の辞書の特性に着目し、
語彙を広げる授業を展開されている事例

2012年10月取材

杉並区立和泉中学校 都木求枝たかぎもとえ先生の授業実践

●学校概要
東京都杉並区(人口約54万人)の中学校。
生徒数は各学級約22名で、学級数は各学年1~2学級。
●お取り組み学年
2年生(国語辞典)
●お取り組み単元
辞書を使って語彙を広げよう(オリジナル単元)
●指導者
都木 求枝 先生


都木 求枝 先生

実践の概要

電子辞書でなく、調べる語の「周辺の語が見える」紙の辞書の特性を使って、語彙を広げたり、仮名遣いの決まりを発見したりする活動。
「言う+○○」となる接尾表現を辞書から探して語彙の広がりを意識したり、「大(おお)きい」と「王(おう)国」の仮名遣いを例に、他にも「おお」と表記する語句、「おう」と表記する語句を、辞書から探したりする。後者では、集まった語句から法則性を見つけ出し、 「大」のつく語は常に「おお」、「王」のつく語は常に「おう」と表記するなど、漢字の違いによって読みの表記が変わることを理解する。
さらには、歴史的仮名遣いとのつながりや外来語にも触れ、発見学習のスタートとする。

単元は、全2時間。

第1時 辞書の特長や基本的な使い方を確認する。「言う+○○」となる複合語に着目し、語彙の広がりを意識する。
第2時 語彙を整理する。

という学習の流れで、辞書を活用する。

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第2時の概要

<指導案>で詳細を見る

【導入】
学習シートを配布し、学習目標の確認と、前時の振り返りを行う。
【展開】
学習シートに沿って、以下の活動を辞書を使って行う
  1. ①「大当たり」「王国」の仮名遣いを例に、「おお」「おう」と表記する語句を辞書から探し、気付いたことを発表する。
  2. ②外来語や歴史的仮名遣いをどのように辞書で引くか確認する。
  3. ③迷いやすい語句の仮名遣いを確認する(クイズ含む)。
【まとめ】
授業を振り返り、分かったことや感想を書く。

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授業実践後の手ごたえ


仮名遣いクイズで盛り上がる教室。
最初は全員起立して始め、クイズに間違えると着席していく。

■自発的に辞書を活用する姿がみられるようになった

辞書を活用した授業の後、「敬語」の単元を指導したが、わからない語句に出会うと、全員が辞書をぱっと開く様子が見られた。速く辞書を引こうという姿勢があり、よかった。また、作文を書く際に、辞書を横に置いて書く生徒が増えた。

■他の単元でもこの学習が活きた

後日、「平家物語」の「扇の的」という教材を学習した際には、“「扇」は「おうぎ?」「おおぎ?」 ”と問いかけると、「おうぎ!」と自信をもって答える生徒が多数いた。
日本語には「おお」よりも「おう」と表記する語の方が圧倒的に多い」ということも授業の中で伝えていたので、間違えた生徒も、「辞書を使った授業の時にやったよね。どちらが多かったっけ?」と問いかけると、すっと答えることができた。

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授業実践を終えての課題

■さらに踏み込んだ辞書活用をどうやって促せるか

まだまだ辞書はわからない漢字を調べるアイテムで留まっているようなところがある。また、辞書で調べた説明をそのまま写すだけではなく、その説明のことばの不明瞭な点をさらに追求して調べるような姿勢を育てていく必要がある。

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今後の展望

意味調べを宿題に出すときだけに限らず、生徒に継続的に辞書の良さを味わわせる工夫をしていきたい。

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生徒アンケートより、授業の感想の抜粋

  • 早引きなどをして競争心をあおったり、○○に入る言葉を入れて文を作るというのは楽しかったです。
  • 辞書は言葉を調べるためだけに使っていたけれど、他にも色々使い方が分かってよかった。
  • 自分で答えを探すことは答えを出したときのよろこびが多いので、長い間きちんと覚えていられると思いました。
  • みんなで辞書引きするのはおもしろかった。普段使わない言葉が見つかり、新たな発見があった。他にもいろいろな辞書を読んでみたいと思った。
  • 普段は、漢字の意味をよく調べていたけれど、今回の授業で、「王」や「大」などを使っている漢字が、どう発音するのかを調べるやり方もあって、参考になった。

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授業見学レポート(辞典編集部より)

「歴史的仮名遣いへの気づき」という、生徒にとっては少し難しく感じられる要素を含んだご実践でしたが、先生がテンポよく授業を進めておられ、また、生徒を飽きさせないよう、クイズを盛り込むなど、さまざまな工夫をされていたので、生徒の皆さんの反応は非常に活気のあるものでした。
1学期に学習した「枕草子」の一節を思い出しながら歴史的仮名遣いを振り返るなど、連続性のある授業の組み立ても素晴らしいと感じました。そして何より、辞書をめくってことばを集め、その集まった語を俯瞰しながら仮名遣いの法則を考える、という辞書の使い方が斬新でした。日本語には「おお」よりも「おう」と表記する語の方が圧倒的に多いということも、授業を見学させていただき、初めて知りました。

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今回の授業事例について


田中 洋一 先生
東京女子体育大学教授

電子辞書はことばの意味を急いで調べるときや、複数の種類の辞書を合わせて使うときなどに便利ですが、従来の紙ベースの辞書には、電子辞書にない長所があります。調べたい語と関連する語や、同じ仮名遣いの語などを並べて見ることができることもその一つです。
都木先生の事例は、そういう紙ベースの辞書のよさを活用したものです。生徒のことばに対する知的好奇心を刺激し、辞書を引くことがおもしろくなるような事例といえます。