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学校全体でのお取り組み事例

1年生の導入は、音読とつなげて。
教務主任の先生を中心に、全学年で辞書引きに取り組まれている事例

2012年5月取材

千葉県千葉市立磯辺第一小学校

●学校概要
千葉県千葉市(人口約96.3万人)の小学校。
各学年2学級。
●お取り組み学年
1~6年生(国語辞典)
●お取り組みの開始時期
2010年度~
●お話を伺った先生
高市 恵美先生(教務主任)・深見 智子先生(1年担任)

お取り組みの概要

毎週金曜日の「朝の時間」(15分)を使って、全学年で辞書引きに取り組んでいる。
1年生の導入は、ひらがなが定着する年度後期から。前期は音読や視写にしっかりと取り組み、それとつなげる形で辞書引きを導入する。
辞書の好きなページを全文音読し、元々知っていたことばはピンク、初めて知ったことばは青というようにふせんの色を変えてはっていくことで最初から達成感を味わうことができる。


高市 恵美 先生

お取り組みのきっかけや問題意識

子どもたちの語彙数が少ないことを課題に感じており、なんとか解決したいと思ったのが辞書引き学習に取り組むきっかけだった。読書活動をはじめ、国語については学校ぐるみで熱心に取り組んできた歴史があったが、ことばのひとつひとつに丁寧に向き合い、親しんで語彙を増やす、という具体的な活動はしてこなかった。辞書引きは、ひとつひとつのことばと向き合う学習活動であり、語彙力アップに効果があるのでは、と期待して始めた。
このような背景があり、2010年度入学説明会において、校長先生より、国語辞典を準備するよう保護者に依頼した。当時の教務主任の先生が、深谷先生の著書などを参考に資料を作成して先生方に配布して辞書引き学習の進め方を指導した。
2010年度は学校で国語の研究発表会があり、そこに向けて読書・辞書引きなど国語力アップのためのさまざまな活動を行った。

2010年度の研究報告

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辞書活用のお取り組みの具体例

■「マイ辞書」の重要性を保護者に伝えることが大事

自分だけの「マイ辞書」を持たせることが非常に大事であると考えており、保護者にもその点を丁寧に伝えて購入を依頼している。
入学説明会で「兄弟のものがあるので買わなくてよいか?」という質問が必ず出るが、一人一冊用意してもらえるよう伝える。上の子のものを上級向けの辞典に買い直して、元の辞書を下の子に、というケースもあるようだ。
どの辞書を購入するかについては、とくに指定はしていない。 6月の参観日に、小学生向けの辞典を数点見本として展示して保護者に見てもらえるようにしている。ふせんは、最初は学校で用意するが、その後は保護者に用意していただくよう依頼する。
子どもによってはうちにある大人向けの辞書を持ってきて、途中で合っていないことに気づき買い換える、というケースもある。高学年では広辞苑などの大辞典を持ってくる子もいる。

■「朝の時間」を使って全校で辞書引き

1年生への辞書引き導入が済んだ年度後期より、金曜日の朝の時間(15分)を使って全校で辞書引きを行っている。ただし、2年生以上は、昨年からの継続で辞書を持っているため、年度前期も教室に置いてよく引いている。ふせんにあらかじめ数字を書いておき、それがどんどん増えていく、というのは、高学年になっても十分楽しんでやっている。

■クラスによってさまざまな工夫を

国語以外の他教科でもよく辞書を引いている。よく引く教科は、社会。その他、理科でもよく引いている。
辞書引きの進め方は、基本的に各クラスにまかせている。先生によって、また子どもによって、さまざまな工夫やルールを作って楽しく取り組んでいる。
たとえば、同じ語を2度目に引いたらふせんの色を青からピンクに変えるというような子もいる。
また、1年が終わると貼ったふせんをすべて紙に移して一覧できるようにすることもある。自分の引いてきた語彙が一覧できるのは意味がある。

■1年生への導入は、音読とつなげる形で。新出漢字の熟語集めも、まずは国語辞典から。

1年生は、ひらがながしっかり定着してから辞書引きを始めたいため、後期からスタートする。前期は辞書引きと同じ時間を使って、音読や視写をしっかりやるようにしている。
導入は、まず、辞書の好きなページを全文音読するところから始める。前期で取り組んできた音読とつなげる形で辞書引きに入っていけるよう工夫している。その後、元々知っていたことばはピンク、初めて知ったことばは青というようにふせんの色を変えてはっていく。1ページ読めば相当のふせんを貼ることになり、最初から達成感を味わうことができる。
その後は、「しりとり」などを使って、楽しく進めていく。辞書の引き方はざっとは伝えるがあまりこまごましたルールは言わない。子どもたちが自分たちで発見しているようだ。
1年生で国語辞典をよく使うシーンは新出漢字の熟語集め。漢字辞典はやや難易度が高いので、熟語集めも国語辞典でやっている。

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辞書活用お取り組み後の成果

  • 昨年度、半年間辞書引きを行った1年生の語彙数は増えたと感じている。ただ、辞書引き以外にも音読の取り組みなども行っており、それらの総合的な効果とも言える。
  • 辞書を引くこと、何かを調べることをいやがらなくなった。先生に「それって何?」と問いかける前に、自ら手を動かすようになってきた。高学年では、とにかく、辞書に対する抵抗感がなくなった。「わからないときには引く」というシンプルな学習の法則が身についた感がある。
  • 社会の調べ学習でもネットに加えて本や図鑑にあたろう、という姿勢が見て取れる。
  • 辞書引きそのものが楽しくなる。昨年の1年生が「きょうは雨で外で遊べないから辞書を持って帰って辞書引きやっていい?」と聞いてきた。
  • 高学年に対して「意味調べをしなさい」と言わなくてよくなった。あらかじめ調べている子が多いし、語義についても的確なものを選べている。そういうときには調べていることに対し、ほめあげてやる気をかき立てるのが大事だと考えている。

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課題や今後の展望

  • 低学年は、名詞を調べる際はあまり問題がないが、動詞・形容詞・形容動詞等活用のあるものを調べる際は苦労している。
  • ふせんで調べた語句を増やすだけでなく、学習にも効果的に生かす工夫をする必要がある。

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