Benesseサイトマップ

Benesseトップ

学年単位でのお取り組み事例

学年全員が集まって導入授業を行った後、
各クラスで個別指導を行って辞書引き学習を促進した事例

2013年2月取材

福島県福島市立笹谷小学校

●学校概要
福島市(人口29万人)の小学校。
各学年の学級数は3学級。
●お取り組み学年
3年生(国語辞典)
●お取り組みの開始時期
2012年度~
●お話を伺った先生
3年生学年主任 石田 杏枝 先生
加藤 昌 先生
佐藤 広子 先生

お取り組みの概要

学年全員が体育館に集まって辞書引き学習の導入を行った後、各クラスにおいて個別指導を行って辞書引き学習を促進。
イベント的な楽しさを持って辞書引き学習に触れて意欲をかきたてた後、細かな迷いや不明点を個別に相談して解消するというステップを踏んだことで、全員が前向きに取り組むことができている。


石田杏枝先生  加藤昌先生  佐藤広子先生

お取り組みのきっかけや問題意識

加藤先生が、教育誌で深谷圭助先生の実践についての記事を読んで興味を持ち、前任校においてクラスとして取り組んだ経験があった。
学習指導要領の変化に伴って学習内容が増加する一方、子どもたちの語彙力については年々落ちているとの課題意識を持っていた。
そんな中、同校担当のベネッセコーポレーションICTサポータより「辞書引き学習」の導入授業についての提案があり、学年一丸となって取り組むことにした。

←活用事例集へ戻る↑PAGE TOP

辞書活用のお取り組みの具体例

■辞書引き学習の導入は段階を追って
2012年4月
国語の授業の一環として辞書の引き方を導入

子どもたちは、「引くのが大変」「探しても、ことばが無い」など、やや億劫がる傾向があった。

2012年7月
3年生全員参加の辞書引き学習講習会で児童の意欲が一気に高まる!

広さの確保と避暑を兼ねて、体育館で辞書引き講習会を実施。床に座り、椅子を机にして行い、大いに盛り上がった。
ICTサポータの他、ベネッセコーポレーションの複数の講師により、プレゼンテーションソフトを用いてなぞなぞを行うなど、興味をかきたてるように辞書引き学習を展開した。
内容の難易について、子どもによって感じ方は異なるが、ソフトの展開に沿って、渡されたふせんを全部使ってみたいという意欲の高まりが全員から感じられた。 「知っていることばを引く」ということで一気にハードルが下がった感がある。
ふせんに番号を書くところがあり、あらかじめ数字を書くことで、何語調べようという目標を持てたことも有効だった。
ここで、子どもにとって辞書がぐっと身近なものになったのと同時に、子どもの楽しそうな様子を見て、教師も続けていこうと思えた。

2012年11月
クラスごとに細やかな指導を行ってフォロー

全員参加の講習会にて導入した後、クラスごと、個人ごとに辞書引き学習を進めていた。
11月に、改めてベネッセコーポレーションのICTサポータが講師となり、クラスごとに授業を展開。クラス内をまわりながら個別指導も行った。
わかりづらいところや迷っているところを確認して指導し、ふせんの貼り方などについてもアドバイスを行った。

■自由に辞書引きを行うと同時に、国語の授業の中ではおさえておくべきことばをプリントで指定

授業においては、国語で説明文や物語の学習に入るときに、わからない言葉を調べる。その際、子どもに任せきりにするのではなく、教師が押さえたい言葉をプリントに載せ、まずそれを調べさせることにしている。それにより、ことばによっては、辞書に掲載されている見出し語の形にして提示することもできる。さらに、子どもによっては自分で追加して他のことばを調べることもできるので、有効な学習方法であると考えている

■辞書は常に使える場所に置くことがポイント

国語だけでなく、他の教科や活動でも使用するためには、とにかく常に使える場所に置くことが大切。すぐ手に取れるように机の中に入れたいが、ふせんでふくらんだ辞書はなかなか入らず、机の脇にかけると掃除の際の机運びが重くなるため、現在は棚の上に置き場を作って設置している。

■自分のレベルに合った辞書をもつことが大事

時々大人用の辞書を持っている子どもがいる。また、卒園記念でプレゼントされた低学年向けの国語辞典を使っている子どももいるが、3年生の教科書にのっていることばがのっていないことがある。強制はできないが、「もうこれはあなたのレベルではないかもしれないね。」というアドバイスを行って、なるべく小学生の辞書引き学習にふさわしいレベルのものを持たせるようにしている。

←活用事例集へ戻る↑PAGE TOP

辞書活用お取り組み後の成果

まずは、辞書が身近なものであるという認識ができたことが大きな成果。常に携行できるものではないが、わからないことばや調べてみたいことばがあった時、漢字での書き方を忘れた時など、少し歩いて手に取れば使えるものであることが大切だと感じている。
ほかの教科でも「わからなかったら調べよう」という姿勢が出てきた。先日、祭りについての発表会をしたとき、もらってきた祭りの説明パンフレットに「五穀豊穣」など難しい言葉が多数並んでいたが、「わからない」と投げ出さず、「調べる」ということに対して一生懸命取り組んでいた。
ふせんを貼るのは授業時間だけでは時間が限られるため、自由な時間に友達と引き合って増やしたり、家に持ち帰った時に存分に貼ったりするという活動も見られた。
そして、何はともあれ、辞書に親しみをもって活動する姿を多々見るようになったことが、一番の成果と捉えている。

←活用事例集へ戻る↑PAGE TOP

課題や今後の展望

  • 現在は、週末に辞書を家庭に持ち帰り、週明けに持ってくるようにしている。理想は、学校でも家でも同じ辞書を使い続けることだと思うが、毎日持ち運ぶのが可能な重さと大きさではないため、徹底することは難しい。
  • 全体としての意識は高まっているが、辞書引きのスピードには個人差がある。いまだにすらすらと辞書を引けない児童も見受けられる。
  • 辞書についてのテスト問題は、見出し語の掲載順を答えるものがほとんどで、学習の本質とやや離れている感じを受けている。
  • 辞書引き学習は、3年生で始めるのが最適と考えており、現3年生については、このまま6年生まで続けていく予定。

会社案内

個人情報保護への取り組みについて